エアプランツの記事は、専門用語と表記ゆれで読みにくくなりがちです。この用語集は、図鑑と育て方のページで使っている言葉を「見分ける・育てる・名前を読む・買う」の 4 つに分けて、1 語ずつ短く定義しました。最後に 42 種の名前の表記ゆれ表を置いています。
模式図は姿や動きの説明です。見分けるときは実写真と種別の記事へ。
見分けるための言葉
エアプランツ / チランジア(ティランジア)
アナナス科チランジア属(Tillandsia)の植物の流通名。パイナップルと同じ科です。属に含まれる種の数はデータベースごとに違い、EoB 813・WCVP 727・GBIF 751。この図鑑は国内で流通が確認できた 42 種を収録しています。「チランジア」と「ティランジア」は同じ属名の読み方の違いで、検索ではまだ別の語として扱われています。
着生(着生植物)
木や岩に体を固定して育つ生き方。寄生ではなく、支持体から養分は取りません。エアプランツとして育てる多くの種類では、根は主に株を留め、葉のトリコームが吸水を担います。だから土がいらず、流木やコルク樹皮に留めて育てられます。
トリコーム
葉の表面を覆う細かな鱗片状の吸水細胞。雨や霧から水分を取り込む入口で、日差しから葉を守る役目もあります。厚いほど株は白く見え、水もちがよくなります。RHS は「濡れている時間しか水は入らない」と説明しています。

種レベルで一致する参照実写(個体差があります)。Photo: Krzysztof Ziarnek, Kenraiz / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
銀葉種 / 緑葉種
葉を銀色に見せるのは表面の細かな鱗片、トリコームです。銀葉・緑葉は見た目を比べる分類ですが、水やりの回数や光の強さを一律に決める札ではありません。種、葉の厚さ、株元の形、置き場所と乾き方を合わせて判断します。葉型から図鑑を見る。
壺型 / 開帳型(ロゼット)/ 有茎 / 垂下
株の姿の 4 区分。基部が壺のようにふくらむのが壺型(ブルボーサ、キセログラフィカ)、葉を放射状に平らに広げるのが開帳型(イオナンタ、ブラキカウロス)、茎が伸びるのが有茎(アエラントス)、房になって垂れるのが垂下(ウスネオイデス)。42 種のうち壺型 10・有茎 4・開帳型 3・垂下 1 で、残り 24 種は資料が割れるか無く、決めていません。流木に留めるか、吊るすか、器に置くか。飾り方の見当はここからつきます。

学名一致の参照実写。Photo: José Garrido / CC BY 4.0, via iNaturalist

種レベルで一致する参照実写(個体差があります)。Photo: Bernard DUPONT from FRANCE / CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

種レベルで一致する参照実写(個体差があります)。Photo: Juan Emilio Prades Bel / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

Photo: Maja Dumat (blumenbiene) / CC BY 2.0, via Openverse (Flickr)
ロゼット / クランプ(群生)
ロゼットは、葉が中心から放射状に重なって開いた姿。クランプは、子株を外さずに残して株が群れになった状態です。イオナンタ・アエラントス・ストリクタなどがクランプになりやすい種として挙がります。
半タンクタイプ / グラス系
趣味家の呼び名で、4 区分の外側にある言葉です。半タンクタイプは葉の付け根に水を溜める姿(トリコロール)、グラス系は細い葉が束のように立つ姿(ジュンセア)を指します。
育てるための言葉
ソーキング
株ごと水に浸ける水やり。英国RHSの属ガイドは春〜秋に週2〜3回の浸水を案内します。種類と季節、置き場所の乾き方に合わせて方法を選びます。浸ける時間は出典によって 1 時間から 6 時間まで幅があります。対照表はエアプランツの水やりへ。
ミスティング
霧吹きで葉を濡らす水やり。暖かい時期の脱水予防に役立ちますが、RHS は「単独では浸水の代わりにならない」と書いています。ウスネオイデスの種別案内は、晩春〜秋半ばのミスティングです。属全体の案内と分け、房の内側までの濡れ方と乾き方を確認します。
水切り(2〜3 時間で乾かす)
水やりのあと、逆さにして振って水を落とし、風を当てて乾かすこと。ほぼ全出典が一致する唯一の手順で、目安は水やり後 2〜3 時間で乾いていること。壺型は株の中心に水が残りやすいので、ひっくり返して流します。
蒸れ / 葉焼け
蒸れは、濡れたまま空気が動かず株の内側から腐ること。葉焼けには強い日差しや過熱などが関わるため、遮光していても風がなければ焼けます。日光が当たり続けると葉の表面は 50℃ を超えます。エアプランツの置き場所へ。
遮光率
遮光ネットが光を遮る割合。国内の記述は 30% から 75% まで散り、最も多い帯は 30〜50%。真夏(最高気温 30℃ 超)に直射を避ける目安です。
子株(オフセット)/ 実生
子株は親株の脇から出る次の世代。外す目安は出典で違い、RHS は親株の 1/3 以上、NHK 出版は葉が 5〜6 枚以上、国内サイトは親株の半分〜2/3。実生は種から育てる方法で、RHS は発芽 25℃・1/4 濃度の液肥を週 1 回・高さ 1.25cm で分離という値を持ちます。エアプランツの増やし方へ。
一回結実性(monocarpic)
一度開花した株は枯れていき、その前後に出した子株が次の世代になる生活史。チランジアを含むブロメリアの大半がこれです。親株が完全に枯れてから取り除き、子株はその場に残します。
花・苞・葉を見分ける

種レベルで一致する参照実写(個体差があります)。Photo: Jacinta Lluch Valero (jacilluch) / CC BY-SA 2.0, via Flickr

種レベルで一致する参照実写(個体差があります)。Photo: HK James Ho / CC BY-SA 2.0, via Flickr
RHS / hardiness H1c
RHSは英国王立園芸協会。H1Cは英国条件の耐寒区分で、「夏は屋外可(5〜10℃)」を意味します。日本の屋外越冬の保証には使わず、種類と置き場所の最低温度で管理します。属ガイドの12℃という給水の注意や国内の取り込み目安は、用途が異なる数値です。
名前を読むための言葉
学名の読み方
Tillandsia ionantha
共通する属名 + 種名
Tillandsia ionantha ‘Fuego’
種名の後ろに園芸名
Tillandsia usneoides (L.) L. のように、属名 + 種小名 + 命名者で書きます。属名を略した T. usneoides もよく使われます。属名 Tillandsia は 17 世紀スウェーデンの医師・植物学者 Elias Erici Tillandz への献名です。
原種 / 園芸クローン / 産地フォーム
原種は自然に存在する種。園芸クローンは特定の個体を選抜・増殖したもので、名前は引用符つき(‘Fuego’)、独立した学名を持ちません。産地フォームは同じ種の産地違い(イオナンタ メキシコなど)。この図鑑は EoB の階層に従い、クローンやフォームを親種のページに丸めません。例 = イオナンタ フエゴ。
var. / subsp. / sp.
var. は変種、subsp. は亜種。どちらも親種とは別のページ扱いです。sp. は「種は未特定」の印で、sp. で流通する株は図鑑に固有のページを持ちません。ラベルの学名で、種小名の前に別の種名(例: ionantha var. stricta)が入っていないかを見ると取り違えを避けられます。
亜属
EoB が属の中に置く区分。この図鑑の 42 種では Tillandsia が 28 種と大半で、ほかに Anoplophytum(ストリクタ・アエラントス)、Phytarrhiza(カクティコラ・ストラミネア)、Viridantha(テクトラムのみ)、Diaphoranthema(ウスネオイデス)。姿で分けられない種は、亜属と原産地で切り分けます。
BCR 登録
Bromeliad Cultivar Register。園芸クローンの国際登録簿で、原種と産地フォームは対象外。Tillandsia の登録は 1,827 件。イオナンタ フエゴは登録番号 8091 を持ちます。
買うときの言葉
CITES 附属書 II / 注釈 #4
ワシントン条約の掲載区分。チランジアでは harrisii・kammii・xerographica の 3 種が附属書 II に載り、生きた株は注釈 #4 の適用除外に当たりません。国内の扱いは 3 点: 種の保存法の譲渡し等の規制は対象外 / 輸入は外為法の「通関時確認」で輸出国の許可書が要る / 植物防疫は別制度で検査証明書が要る。キセログラフィカのページに詳しく書いています。
落札件数 / 出品者集中 / 個別の落札例
この図鑑が相場として載せる 3 つの値。平均は算出しません。エアプランツの落札は特定の出品者に大きく偏っていて(属全体で首位 1 者が 49.45%)、平均は相場ではなくその出品者の値付けを映してしまうからです。
42 種の名前の表記ゆれ
同じ種が、カナ表記・流通名・和名で何通りにも書かれます。検索やラベルで迷ったときの照合表です。
| 代表表記(和名) | 学名 | カナの表記ゆれ・流通名 |
|---|---|---|
| ウスネオイデス | Tillandsia usneoides | ウスネ・スパニッシュモス・サルオガセモドキ |
| ストリクタ | Tillandsia stricta Sol. | — |
| イオナンタ | Tillandsia ionantha Planch. | — |
| ガルドネリ | Tillandsia gardneri Lindl. | ガルドネリー・ガードネリー |
| ブルボーサ | Tillandsia bulbosa Hook.f. | — |
| カプトメデューサエ | Tillandsia caput-medusae E.Morren | カプトメデューサ・カプトメドゥーサエ・カプトメドーサエ |
| キセログラフィカ | Tillandsia xerographica Rohweder | キセログリフィカ・キセロ |
| アエラントス | Tillandsia aeranthos | — |
| ドゥラティ | Tillandsia duratii Vis. | ドゥラティー・ドラティ・ドーラティ・デュラティ |
| フンキアナ | Tillandsia funckiana Baker | — |
| テクトラム | Tillandsia tectorum E.Morren | テクトルム |
| ジュンセア | Tillandsia juncea | Tillandsia juncifolia / ジュンシフォリア / ジュンシフォーリア |
| ストレプトフィラ | Tillandsia streptophylla Scheidw. ex C.Morren | — |
| ブラキカウロス | Tillandsia brachycaulos Schltdl. | — |
| プルイノーサ | Tillandsia pruinosa Sw. | プルイノサ |
| ベルゲリ | Tillandsia bergeri Mez | ベルゲリー |
| トリコロール | Tillandsia tricolor Schltdl. & Cham. | — |
| セレリアナ | Tillandsia seleriana Mez | セレリアーナ |
| エーレルシアナ | Tillandsia ehlersiana Rauh | — |
| コンコロール | Tillandsia concolor L.B.Sm. | — |
| カミー | Tillandsia kammii Rauh | ティルランドスィア・カンミイ |
| ハリシー | Tillandsia harrisii Ehlers | ティルランドスィア・ハルリスィイ |
| フックシー | Tillandsia fuchsii W.Till | フクシー・フックシィ |
| パレアセア | Tillandsia paleacea C.Pres | — |
| ブットージー | Tillandsia butzii Mez | ブッツィ・ブッツィー |
| マグヌシアーナ | Tillandsia magnusiana Wittm. | マグヌシアナ |
| メラノクラテル | Tillandsia melanocrater L.B.Sm.emend.Gouda | Tillandsia_tricolor_var_melanocrater / トリコロールの変種としての収載 |
| カピタータ | Tillandsia capitata Griseb. | — |
| ベイレイ | Tillandsia baileyi Rose ex Small | ベイリー |
| ベルティナ | Tillandsia velutina Ehlers | ヴェルティナ |
| カウツキー | Tillandsia kautskyi E.Pereira | — |
| カクティコラ | Tillandsia cacticola L.B.Sm. | — |
| コットンキャンディ | Tillandsia ‘Cotton Candy’ | コットンキャンディー・ヒューストン・コットンキャンディ・Tillandsia ‘Houston'(stricta × recurvifolia の同グレックス) |
| カーリースリム | Tillandsia ‘Curly Slim’ | カーリースリム・バリエガータ・クラーケン |
| イオナンタ メキシコ | Tillandsia ionantha Planch. | イオナンタ・メキシコ |
| イオナンタ グアテマラ | Tillandsia ionantha Planch. | — |
| イオナンタ フエゴ | Tillandsia ionantha Planch. | フエゴ |
| イオナンタ ルブラ | Tillandsia ionantha Planch. | ルブラ |
| イオナンタ アルボマルギナータ | Tillandsia ionantha Planch. | アルボマルギナータ・アルボマージナータ |
| ストラミネア | Tillandsia straminea Kunth | — |
| ファシクラータ | Tillandsia fasciculata var. fasciculata ソースに記載なし | ファッシクラータ |
| ディスティカ | Tillandsia disticha Kunth | — |
基礎図の出典
形態と名前は各図鑑記事の種別資料、管理は水やりの出典比較、着生・固定の出典、増やし方の出典、開花の出典を参照しています。図はこれらの観察箇所と操作の関係を整理したもので、写真の細胞構造や見えない親子関係の証明には使いません。
